1 日目

まずは色々なサイトを見て回る。エビ関係のホームページを持っている人は結構多い。いくつか見ていくうち、「トロピカルシュリンプとは台湾産のヤマトヌマエビのこと」という記述がいくつか見られた。

え? 前に死なせてしまったヤマトヌマエビと同じ種類? 出身地が違うだけ? 確かに写真で見るとヤマトヌマエビとウチにいるエビはそっくり。これはかなり意外だった。だって「さすが南国」とか思ってたもん。ということは卵のかえし方もヤマトヌマエビと同じ方法なのか? 謎は深まる。

ヤマトヌマエビの繁殖についてとても詳しく書いてある「えび道」というページを見つけた。どうやらエビ界では有名なページらしい。熱帯魚を販売しているサイトにも“ヤマトヌマエビを繁殖させるときには、このページを参考にすると良いでしょう”と紹介されていた。

他にも同じようなページはいくつかあったが、この「えび道」を素晴らしいと思った理由は、卵を持ったエビのことを「お母さんエビ」と書いているところ。他では「母体」「雌」といった書き方なのに。きっといい人だ(お母さんエビの絵もかわいい)。

早速「えび道」の「ヤマトヌマエビ繁殖法」でお勉強することにする。お母さんが卵を持ってから子どもが大きくなるまで、詳しい育て方や必要になる道具まで細かく説明してある。有り難いことです。そこでいきなり衝撃の事実が。ヤマトヌマエビの卵からかえった赤ちゃんは海水(正確には濃度の薄い海水=汽水)で育つ! 海水っすか? 全く予想してなかった。ちょっと動揺。

どうやら川で放たれた卵はその流れにのり、河口付近の海へ出るらしい。そこで一定の大きさまで成長すると今度は川をさかのぼると言うことだ。なので淡水→海水(汽水)→淡水という、塩分の調整が必要になるようだ。

ただ海水が必要と言っても、熱帯魚屋で売られている「人工海水」でも大丈夫とのことで少し安心。道具にお金をかけずにできるよう工夫された方法も紹介されており、感謝のしつつすぐさまそのページをプリントして以後のバイブルとする。

しかし、最後まで解けなかった疑問がある。それはトロピカルシュリンプの繁殖もヤマトヌマエビと同じで良いのかどうか? ということ。他のページを見ても確信が持てなかったので、思い切って「えび道」の管理人さんに直接質問メールを出してみた。

 
 
2 日目

メールの返事がもらえた! とっても親切に書いてもらって嬉しい限り。有り難うございます。で、結論としてはやっぱり「トロピカルシュリンプは台湾産のヤマトヌマエビなので、ヤマトと同じく繁殖には海水が必要なのではないか?」とのこと。やっぱり思い切って聞いてみて良かった。

ヤマトと同じ方法で繁殖できそうなので、もう一度昨日のバイブルを見直し、全体的な流れを追ってみる。

まず海水を70%程度に薄めた汽水の水槽を用意する。これが赤ちゃんたちの育つ水槽になるので、産卵より前から水を準備して微生物とかがいるような状態にしておくのが良いらしい。次に今までお母さんが居た水槽の水をそのまま入れた別容器を用意する。これが産院になる。卵を持ってから2〜3週間後にお母さんをその容器に隔離して、卵を放り出すのを待つ。多くの場合は隔離してすぐに放り出すらしい。それって一体どうなるの?

とにかく卵を放り出したら、お母さんは元の水槽に戻す。卵やかえった赤ちゃんたちは汽水の水槽に移す。生まれてから3日くらいのうちに汽水に入れないとヤバイとも書いてある。ちょっと緊張。その後は水を換えたりエサをやったりしているうちに育ち、ボウフラみたいだった赤ちゃんはエビらしい形になるらしい。実際どのくらいの期間でそうなるのかはよく分からない。

ほとんどの赤ちゃんがエビっぽい形になり、底に居るようになったら(バイブルの絵がそうなっている)汽水を少しずつ淡水に変えていく。完全に淡水になったら小さいだけでお母さんと一緒。後は大きくなるのを待つばかり…これが一通りの流れだ。違うか? とにかくこれを頭に入れておく。

やり方は何となく分かった。でも…色々なページ見て分かったんだけど、成功率って低いみたい。たくさんかえっても残るのはほんの一握りだったり、いつの間にか居なくなったり。そんな内容が書いてあるページも多く、かなりビビる。きっと飼っているうちにボウフラみたいなヤツでも情が移るような気がする。それが居なくなったら…また泣くかも。やはり自然の厳しさを知る結果になるのか。

ちょっと悩む。適当な覚悟で生き物を育てて良いのか。難しいことは面倒くさいので明日考えよう。

 
 
3 日目

もう一度考える。エビの子育てをするのか? まあ〜やってみようかな、という事にした。もし放っておいたら確実にそのまま消えてしまうんだし。ダメでもともと、ということで。それほどマメでもないので、無理のない範囲でやることにする。

いくつか道具も必要なようだが、今まではただグッピーを飼えれば良かったので何も持っていない。別の水槽も無いし、だからといってこれのために出費する気までは無い。「えび道」には費用を安く済ますために工夫したやり方も載っている。何から何まで有り難いことです。

で、「えび道」を参考に赤ちゃん用の汽水容器はペットボトルに決定。2リットル容器の上部分をぶった切ったもの。お母さん用の産院もペットボトルに決定。その他の最低限必要なものは購入することにする。

熱帯魚屋に出向き色々見て回る。まず絶対に必要な人工海水の素。一番小さいもので880g入り800円。空気を送るためのエアポンプは980円、ビニルのチューブ(2m)200円、エアストーン(2個入り)220円、チューブを3方向に分ける三又分岐が360円。合計で2,688円だった。

 
人工海水の素
人工海水の素
エアポンプ
エアポンプ「水心」
ビニルチューブ
ビニルチューブ
エアストーン
エアストーン
三又分岐
三又分岐
蛍光灯
古い蛍光灯

昔使っていた、小さな水槽用の蛍光灯を引っ張り出す。何年も使っていなかったが、一応点灯はするみたい。あとは水を4リットルほどくみ置きした。

 

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